時間領域アナログサイン波」あるいは「正弦波」は sin 関数または cos 関数を時間領域アナログ信号とみなした信号で、交流(AC: Alternating Current)信号、シヌソイドなどとも言います。

時間領域アナログサイン波の定義式は次の通りです。

定義: 時間領域アナログサイン波 (正弦波、交流(AC)信号、シヌソイド)

 

\[ f(t) = a \cdot \sin( w \cdot t + \phi ) \]

または

\[ f(t) = a \cdot \cos( w \cdot t + \phi ) \]

$a$・・・振幅、実数の定数、範囲は実数全体、単位は扱う信号の種類による(ボルト、アンペア、度、etc.)

$w$ ・・・角周波数、実数の 定数、範囲は $w \geq 0$、単位は [rad/秒]

$t$ ・・・時刻、実数の 変数、単位は [秒]

$\phi$ ・・・初期位相、ファイと呼ぶ、実数の 定数、範囲は $-\pi \leq \phi \leq \pi$、単位は [rad]


(補足1)

cos 関数を使った場合でもサイン波と呼びます。
理由は以下の公式より、cos 関数も sin 関数も初期位相が違うだけで、数学的には同一視出来るからです。

\[ a \cdot \cos( w \cdot t + \phi) = a \cdot \sin\{ w \cdot t + (\phi + \pi/2) \} \]

(補足2)

角周波数 $w$ [rad/秒] は負の値を取る事も可能ですがこのアクティビティでは 0 [rad/秒]以上の実数とします。
負の角周波数については複素正弦波のアクティビティで学びます。


(補足3)

初期位相 $\phi$ [rad] が本来取り得る範囲は実数値全体、つまり $-\infty < \phi < \infty$ なのですが、


\[ a \cdot \sin( w \cdot t + \phi ) = a \cdot \sin\{ w \cdot t + (\phi \pm 2\pi) \} \]

という公式から「サイン波は初期位相 $\phi$ に関して周期 $2\pi$ [rad] で周期的」であることが分かるので、一般的には $\phi$ の取り得る範囲を

\[ -\pi \leq \phi \leq \pi \]

とすることが多いです。
もしこの範囲を超えている場合はこの範囲内に収まるように $\phi$ の値を変換します。
例を挙げると

$\phi = 3 \pi /2$  →  $\phi = -\pi/2 \ ( = 3 \pi /2 - 2\pi)$

と変換できますし

$\phi = -3 \pi /2$  →  $\phi = \pi/2 \ ( = -3 \pi /2 + 2\pi)$

と変換できます。

では時間領域アナログサイン波の例として $a = 1$、$w = 2\pi$ [rad/秒]、$\phi = -\pi/2$ [rad] とした時の

\[ f(t) = 1 \cdot \sin( 2\pi \cdot t -\pi/2 ) \]

のグラフを図 1 に示します。

図1: $f(t) = 1 \cdot \sin( 2\pi \cdot t -\pi/2 )$ のグラフ