まず虚数単位について説明します。
虚数(imaginary number)というのは $\sqrt{-5}$ や $\sqrt{-8}$ の様に $2$ 乗するとマイナスになるという実際には存在しない不思議な数字です。
特に 2 乗すると -1 になる数字を虚数単位(imaginary unit)と言って記号の $j$ で表します。
なお数学では虚数単位の記号として $i$ を使いますが、工学では $i$ は電流を意味しますので $j$ を使うことが多いです。
※ 数学などでは $i$ を使うことも多い
実数と虚数を同時に表現している数字のことを複素数(complex number)といいます。
複素数を計算時に使うと複雑な数式が簡単に解けるようになるので工学では大変重宝されています。
さて複素数の定義は次の通りです。
$a$ と $b$ が実数の時
\[ z = a + b \cdot j \]を複素数 $z$ と呼ぶ
※ 記号 $z$ は $x$ や $y$ と同様に慣例的なもので、文献によっては違う記号を使うこともある
※ $j$ と $b$ を逆にして $z = a + j \cdot b$ と書く文献も多い
ここで $a$ の事を実部(Real part)、$b$の事を虚部(Imaginary part)と言って次のように表します。
$z = a + b \cdot j$ の時
複素数 $z$ の実部: Re[z] = $a$
複素数 $z$ の虚部: Im[z] = $b$
※ 記号は文献により異なり、例えば Real(z) 、 Image(z) などと書いたりする場合もあります
複素数 $z = a + b \cdot j$ の絶対値は次のように定義されます。
$a$ と $b$ は実数なので絶対値は必ず 0 以上の実数になります。
ある複素数と虚部の符号だけが異なる複素数のことを複素共役といいます。
$z$ と虚部の符号がだけ異なる複素数のことを複素共役と言って記号 $z^*$ で表す。
つまり $z = a + b \cdot j$ の複素共役は
\[ z^* = a - b \cdot j \]である
※ $z^*$ ではなくて $\bar{z}$ と書いている文献も多いです