Gtk::ScrolledWindow と Gtk::EventBox の順番

概要

Gtk::Image などの "no window" ウィジットでイベントを取得するにはGtk::EventBoxに貼る(add)必要があるが、さらに Gtk::ScrolledWindow と組み合わせるときにウィジットを貼る順番を間違えると一部のイベントが正常に取得できないことがある。

例えばGtk::Image -> Gtk::EventBox -> Gtk::ScrolledWindow の順に貼っても、 Gtk::Image -> Gtk::ScrolledWindow -> Gtk::EventBox の順に貼っても表示は同じであるが、後者の場合はマウスのボタンを押しながらのmotion_notifyイベントを取得できない。

従って正しくイベントを取得するには "no window" ウィジット -> Gtk::EventBox -> Gtk::ScrolledWindow の順に貼る必要がある。

ソース

eventscr.cpp (わざとマウスボタンを押しながらのmotion_notifyイベントを取得出来ないようにしてある)

#include <gtkmm.h>
#include <iostream>

class MainWin : public Gtk::Window
{
    Gtk::Image m_img;
    Gtk::ScrolledWindow m_scr;
    Gtk::EventBox m_event;

public:
    MainWin();

private:
    bool slot_motion_notify_event( GdkEventMotion* event ){ std::cout << "motion\n"; }
};


MainWin::MainWin() : m_img( "./test.png" )
{
    m_event.add_events( Gdk::POINTER_MOTION_MASK );
    m_event.signal_motion_notify_event()
           .connect( sigc::mem_fun( *this, &MainWin::slot_motion_notify_event ) );

    m_scr.add( m_img );
    m_event.add( m_scr );
    add( m_event );

    show_all_children();
}

int main( int argc, char *argv[] )
{
    Gtk::Main kit( argc, argv );
    MainWin mainwin;
    Gtk::Main::run( mainwin );

    return 0;
}

コンパイル

必要なコンパイルオプションは pkg-config を使って取得する。

g++ eventscr.cpp -o eventscr `pkg-config gtkmm-2.4 --cflags --libs`

結果

上のコードではマウスボタンを押さないときにマウスを動かすと "motion" という文字が表示されるが、マウスボタンを押しながらマウスを動かすと何も表示されない。そこでMainWin()を次のように変更する。

MainWin::MainWin() : m_img( "./test.png" )
{
    m_event.add_events( Gdk::POINTER_MOTION_MASK );
    m_event.signal_motion_notify_event()
           .connect( sigc::mem_fun( *this, &MainWin::slot_motion_notify_event ) );

    m_event.add( m_img );
    m_scr.add( m_event );
    add( m_scr );
    
    show_all_children();
}

Widgetをaddする順番に注意。今度はマウスボタンを押しながらマウスを動かしたときでも"motion"と表示される。

内容

Gtk::ScrolledWindow と Gtk::EventBox の順番

概要

ソース

コンパイル

結果