前のページに書いたようにこのアクティビティでは 2 次元(部分)ベクトル空間だけを考えます。またベクトル空間について基本的な知識は知っている事を前提に話を進めますので、途中で何か分からない用語が出てきたら自分で調べて下さい。
さてベクトル空間は点とベクトルの集合から出来ている空間なのですが、このままでは何の役にも立ちませんのでとりあえず各点に何かラベルを付けて区別することにします。今回は 2 次元ベクトル空間を考えているので、2 つの実数値パラメータ$x^1$と$x^2$の組を各点に割り振ることで各点を区別することが出来ます。この 2 つの実数値パラメータの組 $\{x^1,x^2\}$ を「座標」と呼びます。また座標 {0,0} を「原点」と呼びます。
なお $x^1$ と $x^2$ の 1 と 2 は x の 1 乗や自乗という意味ではなくてただの添字です。添字が下付き数字で無くて上付き数字になっている理由は半変ベクトルと共変ベクトルのページで説明しますので、今の所はそういう物だと思って下さい。
さて各点に「座標」というラベルを付けて「原点」も決めましたので、今度は各点とベクトルを対応付ける事にします。 今回は 2 次元ベクトル空間を考えているので、2 つの基底ベクトル $e_1$ と $e_2$ を適当に選べば(※)各点は次の 2 次元ベクトルと 1 対 1 で結びつけることが出来ます。
\begin{align} a^1e_1 + a^2e_2 \label{eq:vec} \end{align}※ 今度は添字 1 と 2 が下付き数字になっていることに気づいた人がいると思いますが今の所はそういう物だと思って下さい。
このベクトル \eqref{eq:vec} を「位置ベクトル」、$\{a^1,a^2\}$ を「位置ベクトルの成分」と呼びます。また、ベクトル空間に座標 $\{x^1,x^2\}$ と位置ベクトル \eqref{eq:vec} の組が与えられたシステム(※)の事を「座標系」と言います。
※ 説明しづらいので「システム」みたいな曖昧な言葉でお茶を濁していますが、「ベクトル空間に座標と位置ベクトルの組が与えられた世界」みたいなニュアンスでしょうか。座標系=位置ベクトルの意味で使っている文献も多いです。
なお座標 $\{x^1,x^2\}$ は実数値の組ですが、位置ベクトルは座標と 1 対 1 で対応さえしていれば良いので別に数ベクトル(成分が実数のベクトル)である必要はありません。つまり基底ベクトル $e_1$ と $e_2$ は数ベクトルではなくて複素数とか関数とか演算子とかその他好きな何かで出来たベクトルで OK です。同様に、成分 $\{a^1,a^2\}$ も実数値の組ではなくて複素数とか関数とか演算子とかその他好きな何かで OK です。