Z変換は、非周期的かつ無限の長さの時間領域ディジタル信号 $f[i]$ に対するラプラス変換です。
Z 変換の定義は以下の通りになります。
$f[i]$ を非周期的かつ無限の長さの時間領域ディジタル信号
\[ f[i] = \{\cdots, f[-2], f[-1], f[0], f[1], f[2], \cdots\} \]
とする。
ただし時刻 $i$ において $|f[i]| \lt \infty$ とする
$z$ を「 Z 平面」と呼ばれる複素平面上の任意の点としたとき、
\begin{align*} \textrm{F}(z) = \sum_{i=-\infty}^\infty \{ f[i] \cdot z^{-i} \} \end{align*}により定義される複素関数 $\textrm{F}(z)$ を Z 平面上の「両側 Z 変換」という。
特に時刻 $i$ が負の時に $f[i] = 0$ である信号
\[ f[i] = \{\cdots, 0, 0, f[0], f[1], f[2], \cdots\} \]に対する Z 変換
\begin{align*} \textrm{F}(z) = \sum_{i=0}^\infty \{ f[i] \cdot z^{-i} \} \end{align*}を「片側 Z 変換」と言う。
逆 Z 変換の定義は次の通りです。
両側・片側共通の定義になります。
両側/片側 Z 変換 $\textrm{F}(z)$ の逆 Z 変換 は以下の式で表される。
\[ f[i] = \frac{1}{2\pi\cdot j} \oint_{C} \left \{ \textrm{F}(z) \cdot z^{i-1} \ \textrm{d}z \right \} \]ここで積分路 $C$ は $\textrm{F}(z)$ の収束領域(ROC)内にある任意の周回路である。
これをまともに解こうとすると留数定理を使う必要があるので結構難しいのですが、もし $\textrm{F}(z)$ が級数の形で与えられているなら以下の様に簡単に求めることが出来ます。
Z 変換が級数
\begin{align*} \textrm{F}(z) &= \sum_{i=\infty}^\infty \{ f[i] \cdot z^{-i} \} \\ &= \cdots + f[-2]\cdot z^2 + f[-1]\cdot z^1 + f[0] + f[1] \cdot z^{-1} + f[2] \cdot z^{-2} + \cdots \end{align*}の形で与えられた時、元の非周期的かつ無限の長さの時間領域ディジタル信号は
\[ f[i] = \{\cdots, f[-2], f[-1], f[0], f[1], f[2], \cdots\} \]となる