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4. Z変換とDFTの関係

準備中


() 両側 Z 変換 F(z) → DFT

まずN を有限な正の整数としたとき f[i] を周期 N の周期性時間領域ディジタル信号とします。
ただし |f[i]|< とします。

また f1[i] を時刻 i=0 から i=N1 までの f[i] の値とします。
つまり f[i]

f[i]=f1[ i mod N ]

で表されます。
ここで mod は剰余演算(modulo)です。

さて f[i] から最初の N 個だけ信号値を取り出した信号列、つまり

{f1[0],f1[1],,f1[N1],0,0,}

の(片側) Z 変換を

F1(z)=N1i=0{f1[i]zi}

とします。
すると f[i] の時刻 i=N から i=2N1 まで信号値を取り出した信号列、つまり

{0,,0N,f1[0],f1[1],,f1[N1],0,0,}

のZ変換は

2N1i=N{f1[ i mod N ]zi}=f1[0]zN+f1[1]z(N+1)++f1[N1]z(2N1)={f1[0]+f1[1]z1++f1[N1]z(N1)}zN=F1(z)zN

になります。
同様に考えると、n を 0 以上の整数とした時、f[i] の時刻 i=nN から i=(n+1)N1 まで信号値を取り出した信号列のZ変換は F1(z)znN

となります。

よって f[i] のZ変換は

F(z)=n=0{F1(z)znN}=F1(z)n=0{znN}

となりますが、後の総和は初項 1、公比 zN の無限等比級数の和ですので、|zN|<1 つまり |z|>1 のときに収束して次の式が求まります。

周期性時間領域ディジタル信号のZ変換

N を有限な正の整数としたとき f[i] (ただし|f[i]|<)を周期 N の周期性時間領域ディジタル信号とする。
また f1[i] を時刻 i=0 から i=N1 までの f[i] の値とする。
さらに信号列

{f1[0],f1[1],,f1[N1],0,0,}

の(片側) Z 変換を

F1(z)=N1i=0{f1[i]zi}

とする。

f[i] のZ変換を F(z) としたとき、収束領域 |z|>1 内の z に関して

F(z)=F1(z)11zN

となる。

では例を示します。

周期 N=10 とし、

f1[i]={ 1, 4, 3, 2, 5, 9, 3, 2 ,1 ,5 }

とします。
また今回はサンプリング周波数を fs=100 [Hz] 、サンプリング間隔を τ=1/fs=0.01 [秒] とします。
この時の f[i] は図1となります。


図1: 今回の例で使用する f[i]

 

では f[i] から F(z) を求めてそのグラフを示そうと思いますが、そのまま F(z) のグラフを描いても人間には分かりにくいので座標変換式

z=esτ=eστejwτ

を用いてラプラス変換 F(s) に変換します。
さらに収束条件 |z|>1σ>0 に相当しますので、σ を 1、 10、100 と変化させた時の絶対値 |F(s)|と偏角 F(s) のグラフを順に示します。


図2: σ=1 の時

ws=200π はサンプリング角周波数 [rad/秒]

絶対値 |F(s)|

偏角 F(s)


図3: σ=10 の時

ws=200π はサンプリング角周波数 [rad/秒]

絶対値 |F(s)|

偏角 F(s)


図4: σ=100 の時

ws=200π はサンプリング角周波数 [rad/秒]

絶対値 |F(s)|

偏角 F(s)

参考までに、上のグラフを描画したプログラムはこちらです。

以下準備中


() DFT → 両側 Z 変換 F(z)

準備中