時間領域アナログ信号 $f(t)$ からサンプリングによって時間領域ディジタル信号 $f[i]$ を作り出す訳ですが、そもそも連続的なアナログ信号を無理矢理ディジタル化する訳ですのでどこかで限界が生じて無理が出てきます。

このサンプリングの限界を与える重要な定理として以下の「標本化定理」があります。

標本化定理:

フーリエの定理より、任意の時間領域アナログ信号 $f(t)$ は様々な周波数のアナログサイン波の無限個の和によって出来ている。

ところがサンプリング周波数 $f_s$ [Hz] で $f(t)$ をサンプリングする場合、$f(t)$ の中に含まれる $f_s/2$ [Hz] 以上の周波数のアナログサイン波を正しくサンプリングすることが出来ない。

ここで $f_s/2$ [Hz]の事を「ナイキスト周波数」と呼びます。
同様に $2\pi \cdot f_s/2$ [rad/秒]の事を「ナイキスト角周波数」と呼びます。

このナイキスト周波数を使って標本化定理を言い換えると次のようになります。

標本化定理 (言い換えバージョン):

時間領域アナログ信号 $f(t)$ にナイキスト周波数 $fs/2$ [Hz] 以上の周波数のアナログサイン波が含まれていると、$f_s$ [Hz] でサンプリングして得られたディジタル信号 $f[i]$ は元の $f(t)$ と全然似ていない波形になる。