前ページで出てきた標本化定理によると、アナログ信号 $f(t)$ にナイキスト周波数以上の周波数のアナログサイン波が含まれていると、サンプリングして得られた $f[i]$ は $f(t)$ と全く似ていない波形になります。

何故全然違う波形になるかと言うと、ナイキスト周波数以上の周波数のアナログサイン波をサンプリングすると

エイリアシング (aliasing)」

と呼ばれる雑音に変化するためです。

具体的には、$f_s/2 < f < f_s$ としたとき、$f$ [Hz] のアナログサイン波をサンプリングすると、$f[i]$ は $f_s - f$ [Hz] のアナログサイン波をサンプリングした波形となって出てきます。

例えば $f_s = 10$ [Hz] (ナイキスト周波数は $5$ [Hz]) の時に $6$ [Hz] のサイン波をサンプリングすると $f_s - f = 10 - 6 = 4$ [Hz] のサイン波をサンプリングした場合と同じ波形になります。

同様に $7$ [Hz] のサイン波をサンプリングすると $3$ [Hz] のサイン波をサンプリングした場合と同じ波形になります。
$8$ [Hz] のサイン波をサンプリングすると $2$ [Hz] のサイン波をサンプリングした場合と同じ波形になります。
$9$ [Hz] のサイン波をサンプリングすると $1$ [Hz] のサイン波をサンプリングした場合と同じ波形になります。
$10$ [Hz] のサイン波をサンプリングすると $0$ [Hz] のサイン波(つまり直流)をサンプリングした場合と同じ波形になります。

この例の様にナイキスト周波数を折返しの中心として周波数の対応が決まるため、エイリアシングは「折り返しひずみ (folding noise)」とも呼ばれています。
同様にナイキスト周波数も「折り返し周波数」と呼ばれています。