複素フーリエ係数 $\textrm{C}[k]$ が周期性時間領域アナログ信号に対するスペクトルとなりますが、$\textrm{C}[k]$ が何 [rad/秒]の角周波数のサイン波の振幅と位相を現しているか分からないという問題があります。
そこで以下の関係式を使って $\textrm{C}[k]$ のインデックス $k$ と角周波数 $w$ [rad/秒] を結びつけます。

$\textrm{C}[k]$ のインデックス $k$ と $w$ [rad/秒] の関係式 \[ w = k \cdot w_1 \]

$w_1$ ・・・ 基本角周波数、 単位は [rad/秒]

この関係式を使って角周波数 $w$ [rad/秒] を独立変数とするスペクトル $\textrm{F}(w)$ が導出できます。

周期性時間領域アナログ信号のスペクトル \[ \textrm{F}(w) = \begin{cases} \textrm{C}[k] & , \ w = k \cdot w_1 \text{ [rad/秒] のとき}\ (k = 0, \pm 1, \pm 2, \cdots) \\[5pt] 0 & , \ w \text{がそれ以外の値のとき} \end{cases} \]

$w_1$ ・・・ 基本角周波数、 単位は [rad/秒]

この式から分かるように、周期性時間領域アナログ信号のスペクトルは

$w_1$ の整数倍の角周波数の所だけスペクトル値が定まり、それ以外の角周波数におけるスペクトル値は $0$

というディジタル信号になります。

逆に元の周期性時間領域アナログ信号 $f(t)$ の式が分からないけど近似計算などを使って $\textrm{F}(w)$ は得られたという状況を考えます。
その場合は複素フーリエ級数展開を使って直接 $f(t)$ を復元したり、前の学習項目で示した変換式から実フーリエ級数展開を使って元の $f(t)$ を復元することが出来ます。
具体的に言うと次の様になります。

スペクトルから元の信号を復元する

式が分からない未知の周期性時間領域アナログ信号 $f(t)$ のスペクトル $\textrm{F}(w)$ を何らかの手法を使って求めたとする。
この時、複素フーリエ級数展開

\[ f(t) = \sum_{k = -\infty}^{\infty} \left \{ \textrm{C}[k] \cdot \textrm{e}^{\{j \cdot k \cdot w_1 \cdot t \}} \right \} = \sum_{k = -\infty}^{\infty} \left \{ \textrm{F}(k \cdot w_1) \cdot \textrm{e}^{\{j \cdot k \cdot w_1 \cdot t \}} \right \} \]

によって $f(t)$ を復元出来る。

※ 実際には無限級数の計算は出来ないので、きりの良い所で総和演算を止めて近似解を求めます。

または $f(t)$ に含まれる直流成分や高調波成分のパラメータを求め、実フーリエ級数展開

\[ f(t) = a_0 + \sum_{k=1}^{\infty} \left \{ a_k \cdot \cos (k \cdot w_1 \cdot t + \phi_k) \right \} \]

を使って $f(t)$ を復元することも出来る。

※ こちらも実際には無限級数の計算は出来ないので、きりの良い所で総和演算を止めて近似解を求めます。

各パラメータは次の式で求められる。

直流成分:
 $a_0 = \textrm{C}[0] = \textrm{F}(0)$

基本波:
 振幅 ・・・ $a_1 = 2 \cdot |\textrm{C}[1]| = 2 \cdot |\textrm{F}(1\cdot w_1)|$
 初期位相 ・・・ $\phi_1 = \angle \textrm{C}[1] = \angle \textrm{F}(1\cdot w_1)$

第 $k$ 高調波:
 振幅 ・・・ $a_k = 2 \cdot |\textrm{C}[k]| = 2 \cdot |\textrm{F}(k\cdot w_1)|$
 初期位相 ・・・ $\phi_k = \angle \textrm{C}[k] = \angle \textrm{F}(k\cdot w_1)$